実際にプラスチック光学部品が使われているシーン

実際にプラスチック光学部品が使われているシーン

では、プラスチックレンズはどのようなシーンで使われているのでしょうか?これまでに説明してきたプラスチックレンズの特徴をいかし、プラスチックレンズが活躍する場面は、皆さんの周りに沢山あります。

車のヘッドランプ

 ライトの光源はLEDが主流になってきています。LEDは寿命が長く、消費電力も少ないというメリットがあり、自動車ヘッドライトの光源として、主流となってきています。光源がLEDになる前はハロゲンランプやHIDが使われていましたが、これらの光源は放熱が大きく、熱に強いガラスレンズ等が使用されてきました。光源がLED化したことにより、熱の問題が大幅に改善、今では多くの樹脂レンズが採用され、小型でスタイリッシュなヘッドライトが増えています。また、樹脂製のレンズを使用することによりADBと呼ばれる所望の範囲のみに光を照射するような、従来にない、優れたヘッドランプも誕生しました。樹脂はガラスのように割れないため、事故で破損した時の危険も軽減させる事ができます。

プリンター

 レーザービームプリンタはドラムと呼ばれる感光体の上に静電気でトナーを載せ、その際に絵や文字になる部分だけにレーザー光を照射することで印字します。fθレンズと呼ばれるレンズを使うことで感光体上に均一にレーザーを照射することが可能です。プラスチックレンズによって非球面や自由曲面のような複雑な面を用いることができ、枚数削減による小型・省スペース化、軽量化を達成することができます。

光電センサ

 製造業や物流業での自動化や安全対策には光電センサが使用されています。投光器から発光された光を受光器で受けることで物体を検出しますが、その際にプラスチックレンズやリフレクタを使用しています。

ヘッドマウント・ディスプレイ(AR/VR)

 ヘッドマウントディスプレイにはディスプレイを見るための接眼レンズや使用者の動きや空間を認識するためのTOFセンサなどが使用されています。頭に装着して使用するため、軽量化や破損したときの安全性を考慮してプラスチック製のレンズが使用されています。

ドローン

 ドローンによる空撮は、カメラを軽量化・小型化し、かつ高い撮像性能を維持する事が求められます。プラスチックレンズはガラスより重量が軽い点に加え、非球面レンズによってレンズ枚数の削減も可能になるため、性能を維持したまま、より軽量化・小型化する事ができます。

データセンター(光通信)

 5Gやクラウドの発展により、大容量のデータを長距離に高速で送るため光が使われています。非常に細いファイバーから出た光を効率良く受光素子に集光させるため、複数のレンズを組み合わせたプラスチックマイクロレンズアレイを使用する事で軽量化、省スペース化する事ができます。

皆さんが良く目にするのは、スマートフォンのカメラです。ここにもプラスチックレンズが使われています。
その他にもLiDARやドライバ‐監視システムなどこのような物以外にも様々なシーンで使われています。